線刻礫の展示 線刻礫写真
線刻礫について
平成2~3年(1990~1991年)、鹿児島市立西谷山小学校(上福元町)西側の台地で掃除山遺跡(下福元町)の発掘調査が行われました。
発掘調査では、約12,800年前の桜島大爆発による火山灰(サツマ層)の下から、縄文時代草創期の住居跡や 煙道(えんどう)の付いた炉穴(ろあな)や土器、石器などが発見されましたが、その中に、不思議な形状の石材らしきものが1点確認されました。石材は砂岩で、石には幅・深さ・長さの異なる溝が刻まれていました。
発見当時、上黒岩岩陰遺跡(愛媛県上浮穴郡久万高原町。国指定史跡)から出土した「線刻礫」(昭和37年(1962年)に発見)のみであったことから、鹿児島市埋蔵文化財発掘調査報告書(1992年2月)では「線刻のある礫」として報告しております。
その後、2014~2016年に行われた牧野遺跡(南九州市知覧町)の発掘調査で国内3例目となる線刻礫が出土しました。
これを受けて、鹿児島市では今回、改めて専門家にさらなる鑑定調査を依頼した結果、
①線刻は意図的に施されている
②線刻のばらつきや施された場所から、砥石(実用品)の可能性はないとの知見をいただきました。
以上のことから、掃除山遺跡の線刻礫は、“何か”を表現しようとした縄文人の意思の痕跡が残る貴重な資料であることが判明しましたので、国内で2例目となる「線刻礫」として常設展示室に展示して紹介することとしました。
線刻礫は類例が少ないことから、今後、さらなる出土が待たれます。
<資料分析協力機関>
・久万高原町教育委員会
・奈良大学文学部文化財学科
交通案内
●JR指宿枕崎線「慈眼寺」駅より徒歩20分
●慈眼寺公園前バス停留所より徒歩15分
●谷山インターより車で10分
●鹿児島市コミュニティバスあいばす ふるさと考古歴史館前下車(日曜日、12月31日~1月3日は運休)
お問合せ
問い合わせ:鹿児島市立ふるさと考古歴史館 ☎099-266-0696